音楽がもたらす「善きもの」

 

天竜壬生ホール
5月、新緑の季節。私は初めて天竜壬生ホールを訪れ、「遠州ジョイントコンサート」を聴いてきました。出演した五つの音楽団体は、それぞれが素晴らしい歌唱力を発揮していました(注)。中でも合同ステージは圧巻でした。総勢40余名が客席内やステージを移動しながら歌い、そのハーモニーがホール全体に漂い、縦横に行き交う――本当に見事な演奏でした。

天竜二俣駅
作曲者によると、この曲は何と20ものパートに分かれていて、最低20人いないと歌えないとのこと。私はこのような音楽を聴くのは初めてで、これが「シアターピース」と呼ばれる演奏形態だと知りました。この日、音楽に触れた帰り道には、五月の心地よい気候も相まって、胸の内に何かとても「善きもの」が残りました。

また、しばらく前――春の2月頃のことです。私は生業や家庭をはじめ、考えなければならないこと、行動しなければならないことが幾重にも重なり、心身ともに疲弊していました。そんな中で浜男の練習に行き、音符を追い、声を出し、仲間の声や音楽を聴き、その世界に浸る時間は、「考える」ということから心が解放されるひとときでした。その場は、私にとってまさにオアシスでした。今でも、練習の終わりにはいつも何か「善きもの」、幸せな気持ちが残ります。

浜男は、来年2月に主催する演奏会に向け、新しい指揮者のもとで毎回とても密度の濃いご指導をいただいています。私は音程やリズム、発声・発音などに苦戦することも多いのですが、自分なりの「一歩ずつ」の前進を目指し、楽しく練習に参加しています。来年の演奏会が、聴いてくださる方々の心にも何か「善きもの」を残すことができますように。

(注)浜男の団員2名が、五団体のひとつに所属し出演しました。

バリトン I.T